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天体がおもしろい




 2012年5月21日には金環日食が日本各地で見られます。6月6日には金星日面経過が見られます。金星日面通過とは、太陽−金星−地球がほぼ1直線状となり,金星が黒い点となって太陽の前を横切っていく現象をいいます。金星版金環日食です。8月14日は金星−月−地球が1直線にならび、金星食が日本各地で見られます。
 日本の太陽観測衛星「ひので」が太陽磁場が変化してN極とS極が2個づつになる4重極構造が5月には出現するかもしれない観測結果を送ってきています。
天体でのさまざまな現象から目がはなせません。


1)金環日食
 太陽がつきと重なってリングのように見えるのが金環日食です。日本国内で見れるのは25年ぶりで、5月21日の朝6時ころから9時ころまで、九州地方南部,四国地方南部,近畿地方南部,中部地方南部,関東地方などはリング状の金環日食が、沖縄から札幌までそれ以外の地方では部分日食が、日本各地でみられます。
国立天文台資料から
国立天文台資料から
 市町村名を入力すると(http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)詳しい時間経過を知ることができます。
2)金星日面経過
 6月6日の金星日面経過は、太陽−金星−地球がほぼ1直線状となり,金星が黒い点となって太陽の前を横切っていく現象です。太陽面通過と呼ぶこともあります。少しリングが太いが、金星版の金環日食といってよく日本全国で見られます。詳しい説明は国立天文台のホームページをごらんください。(http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2004.html)
次回見られるのは2117年12月11日です。
3)金星食
 8月14日の未明には石垣島などを除くほぼ全国で金星食が見られます。これは月が金星の前を横切って 金星を隠してしまう現象です。金星−月−地球と並ぶので、月の明るい側から金星がもぐりこみ,暗い側から出てきます。観測地によってはあたかもトルコ国旗のような状態になったり,月の端を金星がかすめたりします。
金星食のしくみ(国立天文台資料から)
国立天文台資料から
 市町村名を入力すると(http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)詳しい時間経過を知ることができます。
※注意
 観測には、
1)間接的に見る「ピンホールカメラ」の原理を使い、厚紙に数ミリの穴をあけ、その影を白い紙に映す方法。
2)目に有害な赤外線や紫外線をさえぎるフルターを通して見る、市販「日食グラス」を使う方法。
3)写真を撮る場合は、カメラのレンズの前に減光フィルターをつける。
絶対太陽をじかに見てはいけません。わずかな時間でも太陽を直接見ると網膜が傷つく恐れがあります。


4)太陽磁場4重極構造
 太陽は、通常は地球と同じように、北極と南極にN極とS極が1個づつ存在し、太陽は活発な時期と静穏な時期を約11年周期で繰り返しています。活発だと黒点が増え、もっとも活発なときに、北極と南極が反転しています。今回観測されたのは、現在太陽活動は活発かしており、2009年ころから北極がS極からN極に反転し始めました。しかし、南極はN極のままで、反転の兆候は見られません。
 N極とS極はペアで現れるので、北極と南極がともにN極になってしまったら、赤道付近にそれぞれのS極が出現します。これが4重極構造です。

JAXA/国立天文台資料より
 「ひので」(SOLAR-B)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2006年9月23日 午前6時36分 (日本標準時)に M-V ロケット7号機により打ち上げられた科学衛星です。
 太陽観測衛星「ひので」に搭載された可視光・磁場望遠鏡により太陽極域の磁場観測を国立天文台と理化学研究所のほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国航空宇宙局(NASA)、英国科学技術会議、欧州宇宙機関(ESA)などの国際共同研究グループにより定期的に行ってきました。
 2007年9月に行われた、「ひので」の可視光・磁場望遠鏡の超高空間分解能と高精度偏光解析能力による観測によって、太陽極域に黒点と同じ磁場強度を持つ大きな斑点状の磁場が存在することが初めて明らかとなりました。
 太陽活動の2008年の極小期を過ぎ太陽活動が上昇しつつある4年間にわたり観測を定期的に行い、その結果、予想される時期より約1年早く、2012年5月ころに北極磁場がほぼゼロの状態に近づいていることが、2012年1月の観測で発見されました。
 また、現在黒点は増えてますが、通常よりは少なく太陽活動は低迷しています。しかし、なぜか磁場だけはもっとも活動が活発な状態にある磁場の反転を始めています。
 4重極構造が続くと、太陽の磁場が弱くなり、宇宙放射線が地球に入り込みやすくなり、放射線の影響で大気中の雲の量が増え地球の気温が低下することも考えられます。
 今後の「ひので」の観測結果から目がはなせません。
※詳しくは国立天文台のホームページをごらんください。(http://hinode.nao.ac.jp/)