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火星大接近




火星と地球は太陽の周りを異なった楕円軌道で回っています。約2年2ヶ月に1度火星と地球は近い軌道を通ります。2016年5月31日は、10年ぶりに火星と地球が大接近し、肉眼でも赤く輝く火星を見ることができます。


火星と地球の関係
 火星の直径は地球の半分程度と小さく、遠い時は表面のようすがよく観察できませんが、地球との最接近を迎えるころは火星が大きく見えるため、観察の好機となります
 最接近時の火星と地球の間の距離は7,528万キロメートルです。火星は地球のひとつ外側にある惑星で、約780日(約2年2カ月)の周期で地球への接近 (会合)を繰り返しています。
 地球の軌道はかなり円に近い形をしていますが、火星の軌道は少しつぶれた楕円形をしています。
また、会合周期がちょうど2年 ではなく2年2カ月であるため、火星と地球が接近する位置は毎回ずれ、距離も大きく変わります(最も近い位置での接近と最も遠い位置での接近では、距離が 2倍ほど違います)。
 今回の最接近距離まで近づくのは、2005年11月20日以来です。2018年には5,759万キロメートルまで大接近します。

火星は空のどのへんで見られるの
 火星はてんびん座にあり、5月上旬から中旬は宵の南東の空、下旬は宵の南の空に見えます。5月31日に地球に最接近します。明るさはマイナス2.0等~マイナス1.4等。
 今回火星は “マイナス2等級” と通常見ている星座の星より数段明るい。そして赤い。空が暗くなってから、南の方を見上げてみよう。ルビーのように強烈に輝く星があれば、それが火星だ。
 火星はさそり座の近くを動いており、1等星アンタレスと並んで見えます。2 つの星が赤さ、明るさを競い合う様子は肉眼でも美しく眺められます。赤い星 として有名な火星は、2016年5月22日に地球を挟んで太陽と反対に位置する衝となり ました。

火星はどんな星

Mars in opposition 2016. Credit: NASA - National Aeronautics and Space Administration, ESA - European Space Agency, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA), J. Bell (ASU), and M. Wolff (Space Science Institute)
火星は地球型惑星に分類される、いわゆる硬い岩石の地表を持った惑星です。火星が赤く見えるのは、その表面に地球のような水のが無く、地表に酸化鉄(赤さび)が大量に含まれているためです。
 直径は地球の半分ほどで、質量は地球の約 1/10 に過ぎないため、火星の地表での重力の強さは地球の40%ほどしかありません。
 火星の表面積は、地球の表面積の約 1/4ですが、これは地球の陸地の面積(約1.5億km2)とほぼ等しい。
 火星の自転周期は地球のそれと非常に近く、火星の1日(1火星太陽日、1 sol)は、24時間39分35.244秒です。また地球と同じように太陽に対して自転軸を傾けたまま公転しているので、火星には季節が存在します。
軌道要素と性質
元期:2008年1月1日
平均公転半径 227,936,640 km
軌道長半径 (a) 1.52368 AU
近日点距離 (q) 1.381 AU
遠日点距離 (Q) 1.666 AU
離心率 (e) 0.09341233
公転周期 (P) 686.98 日
(1.880866 年)
会合周期 779.94 日
平均軌道速度 24.1309 km/s
軌道傾斜角 (i) 1.8497 度
近日点引数 (ω) 336.2075 度
昇交点黄経 (Ω) 49.6198 度
平均近点角 (M) 86.5067 度
太陽の惑星
衛星の数 2(フォボスダイモス
物理的性質
赤道面での直径 6,794.4 km
表面積 1.44 ×108 km2
質量 6.4191 ×1023 kg
地球との相対質量 0.10745[1]
平均密度 3.93 g/cm3
表面重力 3.71 m/s2
脱出速度 5.03 km/s
自転周期 24.6229 時間
(1.026 日)
アルベド(反射能) 0.15
赤道傾斜角 25.19 度
表面温度
最低 平均 最高
133K 210K 293K
大気の性質
大気圧 0.7-0.9 kPa
平均気温 −43℃
(−130℃ + 0℃にも満たない)
二酸化炭素 95.32%
窒素 2.7%
アルゴン 1.6%
酸素 0.13%
一酸化炭素 0.07%
蒸気 0.03%
ネオン
クリプトン
キセノン
オゾン
微量
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 火星は地球か らでも赤く見えますが、これは表面が酸化鉄(赤さび)を多く含む岩石で覆われているからです。
 表面にはクレーターや火山、峡谷などが見られ、水が流れた跡 のような地形も数多く残されています。
 火星には薄い大気があり、砂嵐も起きます。ときには火星全球を覆うような砂嵐も発生し、「黄雲」と呼ばれ、地上から 小さな望遠鏡でもそのようすを観測することができます。
火星には山があるの ~太陽系最大級の山や谷

 火星には太陽系最大の火山であるオリンポス山があります。
 現在は火山活動は確認されていませんが、少なくとも数千万年前頃までは活動していたとみられています。
 オリンポス山の裾野の直径は約600km、高さは富士山の7倍近い27kmです。
 火星の赤道付近には、これまた太陽系最大級の渓谷、マリネリス峡谷があります。全長が約2,000kmにも及ぶ長大なもので、深いところでは10kmもの深さがあります。

火星の質量は

地球や金星と比べて火星の質量は小さい。太陽系の惑星移動のモデルであるグランド・タックモデルによると、木星は火星形成前に一度火星軌道程度まで太陽に近づき、後に現在の軌道に落ち着いたとしている。その際、火星の構成に使用されたであろう質量の小天体をはじき飛ばしてしまったため、火星が十分成長できなかった可能性を示唆している。

火星の大気は

火星の大気は希薄で、地表での大気圧は約750Paと地球での平均値の約0.75%に過ぎません。逆に大気の厚さを示すスケールハイトは約11kmに達し、およそ6kmである地球よりも高い。これらはいずれも、火星の重力が地球よりも弱いことに起因しています。大気が希薄なために熱を保持する作用が弱く、表面温度は最高でも約20℃です。
 大気の組成は二酸化炭素が95%、窒素が3%、アルゴンが1.6%で、他に酸素や水蒸気などの微量成分を含む。
ただし、火星の大気の上層部は太陽風の影響を受けて宇宙空間へと流出していることが、ソビエト連邦の無人火星探査機のフォボス2号によって観測されています。
 したがって上記の火星の大気圧や大気組成は、長い目で見ると変化している可能性、そして今後も変化してゆく可能性が指摘されています。

 2003年に地球からの望遠鏡による観測で大気にメタンが含まれている可能性が浮上し、2004年3月のマーズ・エクスプレス探査機の調査による大気の解析でメタンの存在が確認された。現在観測されているメタンの量の平均値は体積比で約11±4 ppb です。

火星に水はあるの

水の氷やドライアイスでできた極冠

 火星を望遠鏡で見ると、極地域に白く光る模様を見ることができます。これが極冠と呼ばれるもので、ドライアイスが積もったものです。
 季節によって大きさが変化し、大気との間で循環が起きていると考えられています。
 ESA
が打ち上げた火星探査機「マーズ・エクスプレス」は、極地域の地下、極冠よりもはるかに広い地域に水の氷が含まれるとみられる凍土があることを確認しました。

水が流れてできた地形

 現在の火星の表面には、液体の水をたたえる海や川はありません。しかし、水が流れて浸食したような地形が数多く残されています。
 これはかつて、火星表面に大量の水があったことを物語っています。
 しかし、火星は地球よりも小さくその重力も小さかったため、蒸発して宇宙に逃げてしまったか、地球よりも寒冷な気候のために地下に氷結してしまったと考えられています。
 近年、アメリカが打ち上げた火星探査車「オポチュニティ」と「スピリット」によって、水があった環境下で作られたと考えられる鉱物も発見され、また、アメリカが打ち上げた探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」の撮影した火星表面の写真から、ここ数年で新たに作られたと見られる地下水がしみ出して地表面を流れたような地形が見つかりました。
 このことから、火星には昔大量の水があり、現在でも地下には氷の形で存在し続けていることが、ほぼ確実視されています。

つめたく冷えきった内部

 火星は地球の約半分の大きさしかないため、現在の火星の内部は冷えて、液体核はないと考えられています。
 ケイ酸塩からなる地殻とその下のマントルは酸化鉄に富み、そのため表面が赤褐色に見えます。
 核は鉄・ニッケルの合金と硫化鉄からなっていると考えられています。

火星は様々な観測の結果、開発が可能な惑星との認識が世界に広がっています。
今年はまだまだ多くの天体ショウが見られます。下記のホームページを参考にしてください。
※参考ホームページ
NASA https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mars_atmosphere.jpg
国立天文台 http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/05-topics03.html
宇宙情報センター http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/mars.html